【ヤウマ アーチーズ・シラーズ 2017年VT】
ワイナリーリリースから既に3年が経過。当初のキャンディ香はすっかり鳴りを潜め、しっとりと濡れた石の表面の様な、滴る様なテクスチャーと共にスパイスの香りがようやく顔を覗かせる様になってくれました。フレッシュのブラックベリーやブルーベリーの味わいの陰に、微かに香るユーカリのミンティな個性は紛れもなくオーストラリアのテロワールであり、Shiraz【シラーズ】とこの品種に対して尊敬の念を込めた呼称を守り続けるJamesの意思が宿っているかの様です。
決してグビグビ飲める「軽赤」ではなく、十分に品種個性が表現されており、エキスが一定の濃さを守っているのにも拘わらずスムーズに胃袋へ流れ込んでいく。満足感と親しみやすさが同居した、JAUMAの一時代を担ってくれた代表作でもあります。
また、2013年に無くなった祖父のデディケートとして作られる様になったこのキュヴェですが、2017年のリリースが最後。丁度Jamesがマセラシオン カルボニックによってSO2ゼロのリスクを下げる試みを続けていた時期のキュヴェです。