 
      【酒屋八兵衛 備前雄町 山廃純米酒】
醸造年度:2016
使用米:雄町(岡山県産)
精米歩合:60%
ALC: 16%
(酒質設計)
使用酵母/酒母:MK-1/山廃酛
熟成期間:8年 7〜8ヶ月/タンク貯蔵
(スタイル)加水・2回火入れ
(コンセプト)
8年熟成の長期熟成酒
先代の杜氏が製造していた雄町山廃純米酒は、どっしりとした幅のある味わいとダークチョコレートのようなビター感が感じられる余韻があり酒として多くのお客様からご好評を得ていました。2016年度醸造は搾った当初非常に味が硬く、もう少し熟成が必要だと考えて一部をタンクに貯蔵することとしました。
ですが定期的に利き酒していく中で、最初の頃はまだ苦味が感じられ硬い印象だったこのお酒ですが、2022年くらいから急激にバランスが整ってきました。
徐々に出て欲しかった甘さが前に、そして苦味は後ろへと味の順序が整って膨らんでいくように、良い熟成のレールに乗ったような感覚がありました。
酒質としてはドライな口たりでグルコースも少なく、軽いとは言えないまでも全然重くない。もちろん色沢はかなり進んでおり、熟成香やコクも十分に感じられますが、むしろまだまだ熟成の余白があるようなポテンシャル。
山廃による酸味は長期間の熟成で非常にまるやかに馴染んでいて、非常に心地良い舌触り。定点観測を続けるに従っておそらく今年から来年にかけてがピークに近いと判断し、満を持してリリースさせていただくことにしました。
常温でも飲み良いですが、おすすめはやはり燗酒で。出汁のように口中で広がる旨味と、それを追いかける苦味のコク。口の中を引き締める酸が一体となり、お酒単体でスープのような満足感が得られます。数量限定とはなりますが、これからの季節に是非とも飲んで頂きたく思う出来栄えです。
